第2部|業務活用編
第13章 GPTs・Gemsで自分専用AIを作る
この章の要点
- ChatGPTのGPTs、GeminiのGemsで「自分専用AI」が作れる
- ルーティーン業務を「型」として保存する
- 組織の知識・ベテランの暗黙知を構造化できる可能性
GPTs・Gemsとは何か
ChatGPTには GPTs、Geminiには Gems という機能があります。これは簡単に言えば、
自分専用AIを作れる機能
です。役割・出力形式・文体・フォーマット・注意事項などをあらかじめ設定しておくと、毎回ゼロから指示を書かなくても、一定の形式で出力してくれるようになります。
「型」を保存するイメージ
GPTs・Gemsは、
業務の型を保存する
感覚に近い機能です。例として、よく使う「型」を3つ挙げます。
例1:患者説明資料GPT
- 専門用語を使わない
- 高齢者向けの口調
- 箇条書き中心
- 自主トレを必ず3つ入れる
- 最後に「不安なときの連絡先」欄を入れる
例2:症例発表GPT
- 背景/評価/介入/結果/考察 の順で整理
- 1スライド1メッセージ
- グラフ・数値は必ず単位を併記
- 発表時間に合わせて分量調整
例3:院内報告GPT
- 上司向け、簡潔、箇条書き
- 5分で読める長さ
- 結論→根拠→提案 の順
- 専門用語より平易な言葉を優先
これらを一度作っておけば、「今回の内容はこれです」と情報を渡すだけで、いつもと同じフォーマットで整えてくれます。
毎回ゼロから考えなくてよくなる
普段の仕事では、「考えること」よりも、
毎回同じ形式に整えること
に時間を使っていることが少なくありません。文体を整える、順番を揃える、見出しを作る、言葉を柔らかくする、といった作業です。GPTs・Gemsは、こうした“整える作業”を肩代わりしてくれます。
組織内でもかなり相性が良い
これは個人だけでなく、
- 病院
- 施設
- クリニック
- 教育機関
など、組織レベルでも有効です。症例報告フォーマット、院内資料フォーマット、患者説明フォーマット──これらを統一したいとき、GPTs・Gemsを共有資産にする発想は、非常に強力です。
「組織の知識」を残しやすくなる
これは効率化だけの話ではありません。
- ベテランの説明の仕方
- 施設独自の考え方
- 院内ルール
- 教育ノウハウ
などをGPT化すると、
組織の知識を構造化された形で残せる
可能性があります。これまで「口伝」で受け継がれていた暗黙知を、構造化された知識として保存できるようになるのです。
AI時代は「知識の型化」が重要になる
これまでは「知識をたくさん持っている人」が強い時代でした。しかし今後は、
知識をどう構造化するか
が問われる時代になっていくでしょう。GPTs・Gemsは、その「知識を型にする」ためのツールでもあります。
最初は小さな業務からで十分
最初から難しいものを作る必要はありません。
- よく送るメール
- 毎回作る資料
- 定型報告
- 自己紹介文
- 新人向け説明
など、小さなものからで十分です。「新人向け説明GPT」だけでもかなり便利になります。そこから少しずつ、自分の仕事の型・組織の型・教育の型をAI化していきましょう。
AIは「自分の分身」にもなる
面白いのは、GPTs・Gemsを作っていくと、
自分自身の考え方が言語化される
ことです。
- 自分はどう説明しているか
- 何を重視しているか
- どんな順番で考えているか
を言語化する必要があるからです。つまり、「AIを作っている」ようでいて、実は「自分の思考を整理している」側面があるのです。
これは教育・組織運営・ナレッジ共有にも直結します。
試してみる:GPTs作成テンプレート
名前
患者説明資料アシスタント
役割
あなたは患者教育に定評のあるベテランPTです。
目的
患者向けに、わかりやすく不安を煽らない説明資料を作成します。
スタイル
- 専門用語は最小限。使う場合は必ず補足
- 高齢者向けの優しい口調
- 箇条書き中心
- A4一枚に収まる分量
必須項目
- 病態のやさしい説明
- 自主トレメニュー3つ(目的・方法・回数・注意点)
- 痛みが出たときの対処
- 困ったときの連絡先欄
ふるまい
ユーザーが患者情報を入力したら、上記の形式で資料を出力する。情報が足りない場合は、必要な情報をリストで質問する。
このテンプレートをGPTsの「Instructions」欄に貼るだけで、自分専用の「患者説明資料アシスタント」が完成します。
第13章のまとめ
- GPTs・Gemsで「自分専用AI」が作れる
- ルーティーン業務を「型」として保存できる
- 組織の暗黙知を構造化する可能性も秘める