第2部|業務活用編
第12章 患者説明・資料作成・発信
この章の要点
- 生成AIは「伝える力」を拡張する
- 患者説明・院内資料・SNS・ブログまで応用できる
- 画像生成も併用すれば、オーダーメイド資料が作れる
セラピストは「伝える仕事」でもある
セラピストは意外と「伝える仕事」でもあります。患者説明、自主トレ資料、勉強会、院内発表、メール、SNS、ブログ──いずれも何かを誰かに伝える行為です。だからこそ、生成AIとの相性が良いのです。
患者説明をわかりやすくする
例えば、
「腰痛について説明してください」
だけではなく、
「70代女性にわかるように、専門用語を使わず、不安を煽らないように説明してください」
と指示すると、出力の質感がまったく変わります。さらに、
- 箇条書きで
- FAQ形式で
- イラスト付き構成案として
- やさしいトーンで
など、形式や雰囲気の細かい指定も可能です。患者説明は、専門知識を一般向けに「翻訳する」仕事でもあります。その翻訳作業を、AIはかなりの精度で補助してくれます。
勉強会・院内発表の資料作成
勉強会や院内発表では、スライド構成・要約・図解・レイアウトに時間がかかります。AIは、
- 要点整理
- スライド構成案
- タイトル候補
- 見出し整理
- スピーカーノート
を素早く生成してくれます。例えば、
「この論文を、新人セラピスト向けの5分発表用に、スライド10枚構成で整理してください」
のように、対象・時間・枚数を指定すると、ぐっと実用的になります。
メール・SNS・ブログ
日常業務では、メール返信・SNS投稿・ブログ記事・LINE配信などにも、意外と時間を取られます。AIは、
- 柔らかい文章にする
- 丁寧にする
- 要点を整理する
- 短くする
ことが得意です。上司・他職種・保護者・患者など、相手に合わせて文体を切り替えるのもお手のものです。
画像生成もかなり進化している
最近は、文章だけでなく画像生成もかなり便利になっています。ChatGPT、Gemini、Claudeなどでも画像生成精度が高まってきました。
- エクササイズ説明画像
- ストレッチ図
- 解剖イメージのラフ
- SNS用バナー
なども、文章で指示するだけで作れるようになっています。
ただし「身体の細かい表現」には注意
一方で、
- 細かい関節角度
- 正確な解剖学的位置
- 微妙な運動方向
- 指の本数や姿勢
などは、まだ不自然になることがあります。そのまま臨床現場で配布せず、最終確認は専門家が行うことを徹底してください。医療・運動指導の場面では、不正確な画像が誤学習を生むリスクがあります。
スライド作成AI
スライドそのものを作るAIも増えています。執筆時点では、
- Gemini Notebook(Google)
- Gamma
- Canva AI
などが使いやすいツールです。Gemini Notebookは、長文資料の整理・要約・構造化・音声化との相性が特に良く、勉強会の準備に向いています。
「オーダーメイド」しやすくなった
以前は、時間がない・画像を探すのが大変・資料作成が面倒、という理由から、テンプレート資料・ネット画像引用で済ませることが多かったかもしれません。しかし生成AIによって、
- 独自の説明文
- 独自の画像
- 相手に合わせた表現
をかなり作りやすくなりました。つまり、
オーダーメイド性が高まった
ということです。これは、患者満足度・教育理解度・発信の質に直接影響します。
試してみるプロンプト
あなたは患者教育に定評のあるベテランPTです。
【対象】 70代女性。慢性腰痛。不安感が強い。
【依頼】 このような方に渡す「自主トレ説明資料」のドラフトを作ってください。
【条件】
- A4一枚に収まる分量
- 専門用語は最小限、使う場合は補足
- エクササイズは3種類まで、目的・方法・回数・注意点・痛みが出たときの対処を必ず明記
- 最後に「困ったときの連絡先」欄を入れる
- 不安を煽らない、優しいトーン
第12章のまとめ
- 患者説明・院内資料・SNS・ブログまで「伝える」業務の質が上がる
- 画像生成も併用するとオーダーメイド資料が作れる
- 細かい解剖・運動の画像は、必ず専門家が確認する