第1部|生成AIとの出会い編
第6章 個人情報とセキュリティをどう考えるか
この章の要点
- 個人情報は「匿名化」してから入力する
- 学習に使われない設定が用意されているサービスもある
- 「危険そうだから完全に使わない」もまた、長期的にはリスクになる
セキュリティへの不安は当然のこと
AIを使う際に、誰もが気になるのが、
- 個人情報の扱い
- 入力データの学習利用
- 院内・施設内データの取り扱い
です。医療・介護・福祉領域は守秘性が高い領域なので、これは健全な懸念です。
最低限のルール
実務的には、次のような配慮が必要です。
- 実名は使わない(A氏、Bさん、患者X など)
- 病院名・施設名を出さない
- 住所・電話番号・個人識別IDを書かない
- 顔写真・診療画像を不用意にアップロードしない
- 院内の機密文書(未公開資料、契約書等)はそのまま入力しない
これは「AI使用上のルール」というより、ほぼSNSや外部メール送付と同じ感覚で十分です。
学習に使わない設定を使う
多くの生成AIサービスでは、
- 履歴を学習に使わない設定
- プライバシーモード
- 一時チャット(Temporary Chat)
- データ保持期間の制限
- 法人向けプラン(学習に使われないことが契約上明示されている)
などが用意されています。気になるならまず、
- アカウント設定で「データを学習に使わない」をオフにする
- 重要な作業は「一時チャット」モードで行う
- 法人利用は、法人プラン・APIプランを検討する
ところから始めましょう。
「完全に使わない」も実はリスク
「危険そうだから完全に使わない」
という選択にも、今後はリスクが出てくる可能性があります。AIを使う同僚・他施設・他職種との生産性差が、数年単位で大きく開いていく可能性があるからです。
- 個人レベル
- 学習用途
- 情報整理用途
- 一般情報の調査
など、個人情報を含まない領域から触り始める。そのくらいの距離感が現実的です。
入力前に一呼吸おくチェックリスト
- 実名・住所・電話番号・ID が入っていないか
- 病院名・施設名が文中に紛れていないか
- 院内の未公開資料を丸ごと貼り付けていないか
- 「この内容を、第三者に渡しても問題ないか」と自問したか
- 必要なら一時チャット・学習オフ設定にしているか
このチェックリストを、ChatGPTの最初のメッセージとして自分用に保存しておくのもおすすめです。
試してみるプロンプト
次の症例メモから、個人情報や個人が特定されうる情報を、すべて伏字(◯◯)に置き換えてください。 医学的内容・経過・評価の意味は、できるだけ保ったままにしてください。
【症例メモ】 (ここに匿名化したい本文を貼る)
このような「匿名化アシスタント」としても、生成AIは活用できます。
第6章のまとめ
- 個人情報・施設名は匿名化してから入力する
- 学習オフ設定・一時チャット・法人プランを使い分ける
- 「完全に使わない」も中長期的にはリスク。安全な範囲から触り始める