第1部|生成AIとの出会い編
第4章 生成AIの得意・苦手を知る
この章の要点
- 生成AIは「整理・要約・説明・翻訳」が非常に得意
- 一方で「独創的アイデア」「正確性の担保」は苦手
- ハルシネーション(自信満々の誤答)を前提に使う
AIに「AIの得意・苦手」を聞いてもいい
生成AIを使いこなす最初のステップは、
「得意なこと・苦手なことを知る」
ことです。そして面白いのは、
「生成AIの得意なこと・苦手なことは何ですか?」
を、そのままAIに聞いてもいい点です。AI活用は、正しい使い方を覚えてから始めるというより、会話しながら感覚を掴んでいくものに近いのです。
生成AIが得意なこと
生成AIは、次のような作業がかなり得意です。
- 幅広い知識を整理する
- 長文を要約する
- わかりやすく説明する
- 情報を比較する
- もやもやを言語化する
- 多言語の翻訳・橋渡しをする
セラピスト領域に当てはめると、
- 疾患概要の整理
- 論文要約
- 患者説明文の下書き
- 勉強会・教材のスライド構成
- 国家試験対策の選択問題作成
などとは非常に相性が良いでしょう。
また、英語論文を日本語で整理したり、日本語の臨床メモを英語化したりすることも比較的簡単にできます。海外情報へのアクセスハードルが大きく下がります。
教育支援との相性が良い
特に教育支援は、生成AIが得意な領域です。
「この内容を中学生でもわかるように説明して」
と指示すれば、かなり噛み砕いて説明してくれます。逆に、
「専門家向けに、解剖学用語を使って整理して」
と言えば、専門用語ベースの整理も可能です。つまり、
- 相手のレベル
- 年齢
- 知識量
- 文化的背景
に応じて、説明を瞬時に変えられます。これはセラピストの「患者教育」「学生教育」「家族説明」と非常に相性が良い部分です。
また、
- 「もっと簡単に」
- 「例え話を入れて」
- 「箇条書きにして」
- 「優しいトーンに」
など、会話しながら微調整できるのも特徴です。
一方で、苦手なこともある
もちろん、生成AIは万能ではありません。
- 本当に独創的なアイデア
- 0→1の発想
- 文脈を超えた飛躍
- 個別の人間関係の機微の理解
- 「責任を取ること」
などは、まだそこまで得意ではありません。どちらかというと、
既存知識を整理・組み合わせる
ことが得意な存在です。
ハルシネーションに注意
AIは「次に来そうな言葉」を確率的に予測しているため、
- 知ったかぶり
- 間違った情報
- 存在しない論文タイトル
- 存在しないガイドライン名
をもっともらしく答えてしまうことがあります。これはハルシネーション(幻覚)と呼ばれる現象です。
つまり、AIは自信満々に間違えることがあります。そのため、
「AIが言っているから正しい」
ではなく、
「参考にしつつ、人間が確認する」
ことが大切です。とくに、
- 薬剤名や用量
- 特定の論文・ガイドラインの引用
- 法律・診療報酬の細部
- 患者個別の医学的判断
については、必ず一次情報で確認してください。
AIとの距離感
生成AIは、
「全部任せる存在」
というより、
思考補助ツール
として使うくらいがちょうど良いです。頭の整理・学習の入口・情報収集・文章作成・要約などを支援してもらい、最終的な判断は人間が行う。この距離感が重要です。
試してみるプロンプト
あなたは生成AIに詳しい専門家です。 セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が日常業務で生成AIを使うとき、 「特に役立つ場面トップ5」と「特に注意したい場面トップ5」を、それぞれ箇条書きで挙げてください。 注意点には、必ず「なぜ注意が必要なのか」の理由を添えてください。
第4章のまとめ
- 得意:整理・要約・翻訳・説明・噛み砕き
- 苦手:独創性・正確性の担保・最終責任
- AIは「自信満々に間違える」前提で、人間が必ず確認する